パッケージから読み解く食品の販売戦略【期間限定ピルクル徹底解剖】

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2016年4月12日に期間限定のピルクルが発売されたのをご存知でしょうか!?

その名も

プレミアムリッチ(Premium Rich)ピルクル

です。

従来のピルクルと横並びで売ってたので買ってまいりました!

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左が新商品のプレミアムリッチピルクルです。

期間限定品ですが、ニュースリリースには発売期間がいつまでか書かれてないですね。沖縄を除く全国で発売しているようです。

僕は近くのセブンイレブンで買いました!

実は、先日こんな記事を書いていまして…

直後にこの商品が棚に並んでるのを見たら買わないわけにはいかないなーっと…(使命感

というわけで、日清ヨークから期間限定新発売のプレミアムリッチピルクル!

成分情報から風味評価まで、食品メーカーの中の人が徹底的にレビューしていきたいと思います。

と思ったのですが…

調べていくうちに、少し面白い見方が出来たので、テーマを変えてみます!

今回は、

『プレミアムリッチピルクルのパッケージに見る、成分表示と販売戦略』

について!

ちょっとだけ注意深くパッケージを見てみると、メーカーのいろんな策略が見えてきます。

これを機に、食品を買うときの見方を変えてみては…?

それではどうぞ!

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基本情報

単位に注意!従来品との成分比較

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写真左がプレミアムリッチピルクルです。

従来品(以下”ピルクル”とだけ書きます)との比較表は下記の通り。

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ピルクルとプレミアムリッチピルクルで内容量の単位が違いますね。

そして、これだけ見ると、プレミアムリッチピルクルの方が成分が濃くて濃厚だなー!

と思ったんですが、よく見ると、

ピルクルの成分が65mLあたりであるのに対し、プレミアムピルクルの成分は100gあたりなんですよね。

見落とすところだった…。

そして、パッケージ前面下部に、

『ピルクルと比べてカロリーは同じです』

の文字。

なんか複雑なので…

両者を100gあたりの成分表示に直してやります!!

プレミアムリッチピルクルはg表示なので、問題はピルクルの方。

ピルクルの比重を1.05(100mLで105gってこと)と仮定すると、こうなります。

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※ピルクルの各成分値÷0.65÷1.05で概算。実際の比重は知らないけど、たぶんこんなもん。

確かにカロリーはほぼ同じです。各成分値の差がわかりやすくなりましたね。

ざっくり計算してるので、有効数字とかはあんまり気にしないでください…

まず、濃厚という表示の通り、タンパク質、脂質が高くなっていますが、代わりに炭水化物が低くなっています。

カロリーを下げるために、糖分(砂糖、ブドウ糖果糖液糖)の配合量を減らしたと考えられます。

原材料表示を読み解いていきましょう。

ピルクルの原材料名は糖分2つと脱脂粉乳、あと香料ですね。ヤクルトと一緒でした。

対して、プレミアムリッチピルクルはかなり変わっています。

まず、乳成分の調整が『脱脂粉乳』から『乳製品』へ。

乳製品ってなんやねん…って話ですが、そのまんま。

脱脂粉乳や生クリーム 、ヨーグルト、チーズなど…乳製品を原材料に使った場合、個々の名称ではなくまとめて『乳製品』と表示して良いのです。

脂肪を上げずに乳成分をあげる場合、基本的に脱脂粉乳を使いますが、風味付けのために他の乳製品も配合している可能性がありますね。

そして、コーン油ペクチンが追加になっています。

コーン油はトウモロコシ種子(胚芽)由来の植物油です。

油の基礎に関しては、以下の記事もご参照ください。

乳脂肪が上がっていないのに、総脂肪が上がっているのはコーン油のためです。

ペクチンは安定剤と書いてありますが、増粘作用を持ちます。

食物繊維の一種で、リンゴなどの果実から精製されますね。

他の増粘剤より酸安定性が高いので、ヨーグルトやジャムに多用されます。

食物繊維については以下の記事!

カラメル色素は、茶色を強める着色料ですが、味にも少し作用します。

コーラや調味料によく入っていますね。

コクや苦味の付加にも寄与するはずですが、微量だとどうかなぁ。

成分比較はこんな感じ!

続いてパッケージを読み解いていきましょう。

パッケーチ徹底解剖!&プレミアムリッチが『トクホ』じゃない理由

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商品側面はこんな感じ。

アプローチ方法が全く異なるのがわかるでしょうか?

ピルクルは特保なので、健康効果をごり押ししています。

対して、プレミアムリッチピルクルは…

ピルクル至上最高に濃く深い味わい。

原材料の乳製品を多く使用し、

最適な配合バランスに調整した

期間限定のピルクルです。

とのこと。

完全に濃厚さ、風味をアピールしています。

菌種、菌株が同じ乳酸菌飲料なので、菌由来の健康効果に差異はほとんどないと考えられますが、特保は商品ごとの申請になるため、プレミアムリッチピルクルは特保を取得しなかったのでしょう。

特保、すなわち特定保健用食品については以下の記事を参考に!

10分でわかる保健機能食品の基礎【特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品】

特保は申請に必要な時間と金が膨大です。

類似商品だと、寄与する成分(この場合乳酸菌株)が同じであれば、審査をパスできることもありますが、原材料がかなり異なるため、別申請が必要になった可能性も考えられますね。

トクホか機能性表示食品の認定が無いと、健康効果は謳えません。

ただ、元々リッチな味わいがコンセプトでしょうし、トクホ表示が無いことによるデメリットも少ないでしょう。

期間限定ですし、健康面は従来のピルクルのイメージ戦略に乗っかれますしね。

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風味評価

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というわけで、試飲評価してみました。

ルックスはこんな感じ。

見た目はあまり差が無いですが、よく見るとプレミアムリッチピルクルの方が少し濃い茶色です。

カラメル色素由来と考えられますが、従来品もそれなりに茶色いので、製造工程で加熱工程を経ている可能性があります*1

評価結果は以下の通りです。

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以前の記事とピルクルの数値が少し違いますが、風味評価は当日のコンディション等によって変わるのでご容赦下さい…。生菌の乳酸菌飲料は出来立てとそうでないので味が変わるし。

初めに言いますと、プレミアムリッチピルクルは全然味が違います。

味というより、舌触りに顕著な差が見られますね。

甘さと酸味はあまり差を感じませんでした。成分が濃いので、相対的に酸味を低く感じる人はいるかも。

ピルクルは元々後味がかなりスッキリしていて、下に残らない風味が特徴でしたが、プレミアムリッチピルクルは強いトロみを感じます。

確かに乳成分が少し濃くなっている味わいはあるのですが、濃厚さはむしろ舌触りの方でアピールしている印象。

おそらく、コーン油とペクチンの効果だと考えられます。

コーン油は植物油なのでトロみと舌に残る感じを与えます。

また、ペクチンも粘度を上げるので、同様の舌触りが期待できます。

乳成分が従来品より濃いのは合っていると思いますが、濃厚感(≒リッチ感?)は別の成分由来なのでは?と勘ぐってしまいますね…。

ここまでを元に、もう一度…

ピルクル至上最高に濃く深い味わい。

原材料の乳製品を多く使用し、

最適な配合バランスに調整した

期間限定のピルクルです。

うーむ…色々深読みできてしまいますね。

乳製品が多いから濃い味わいなんです!とは言ってないんですな。

学ばせていただきます!!

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まとめ

ちょっと意地悪にレビューしてみました。

あ、プレミアムリッチピルクルは美味しいですよ!

僕は普通のピルクルの方が好きですけど。人それぞれですな。

食品のパッケージを凝視しちゃうのは、職業病なのです…

食品メーカーで商品開発をしている僕に起こった変化10選!

少しだけ注意深くパッケージを見てみると、メーカーの色んな狙いが見えてきますよ!

とっても楽しいです(ゲス顔

戦略なんて話より、怪しげな健康食品とかに騙されないためにも、パッケージに書かれている情報を正しく読み取る意識は大切ですね!

それでは!

この本見てるだけで1日時間潰せる…

理論より確かに実践向けですな。 

みるおか

*1:タンパク質と糖質を加熱すると茶色くなってコクが出る(メイラード反応)