明治R-1ヨーグルトは、EPS(菌体外多糖)を作り出す1073R-1乳酸菌を使用した発酵乳です。
免疫に関連する指標や風邪症状などを調べた研究がありますが、「飲めば免疫力が上がる」「風邪やインフルエンザを予防できる」と断定できるわけではありません。
私は以前、食品メーカーで乳酸菌の研究や乳製品の商品開発に携わっていました。乳酸菌の分析や、人にヨーグルトを摂取してもらう試験にも関わった経験があります。
そのため、R-1のように特定の乳酸菌をブランドの中心に据えた商品は、研究開発の観点からも非常に興味深いんですよね。
一方、R-1について調べると「免疫力アップ」「インフルエンザ対策」など、効果を強調しすぎた情報も見かけます。
実際の研究では何が分かっているのでしょうか?
この記事では、明治の公式情報と学術論文をもとに、1073R-1乳酸菌の特徴、EPSの働き、健康効果に関する研究、毎日飲む意味やおすすめの選び方を解説します。
【結論】R-1ヨーグルトの特徴と研究結果を一覧表で整理
まず、R-1について分かっていることと、言い切れないことを整理します。
| 疑問 | 現時点での回答 |
|---|---|
| R-1とは? | 1073R-1乳酸菌を使用した発酵乳 |
| どんな乳酸菌? | EPSを産生するブルガリア菌の一株 |
| EPSとは? | 乳酸菌が菌体外に作り出す多糖体 |
| 免疫への働きは? | NK細胞活性や抗体などを調べた研究がある |
| 風邪を予防できる? | 一部研究で好ましい結果があるが、すべての人への予防効果は断定できない |
| 毎日飲む意味は? | 継続摂取を評価した研究はあるが、全員に毎日必要とは言えない |
| いつ飲むべき? | 明治公式では時間帯の指定なし |
| 加熱してよい? | 人肌程度なら可。高温では乳酸菌が失活する |
| 一般のヨーグルトとの違い | 使用菌株と、それに関する研究の内容 |
重要なのは、乳酸菌の健康効果は菌種だけでなく、菌株や摂取条件によって異なるということです。「乳酸菌なら全部同じ」というわけではありません。
R-1ヨーグルトとは?現行商品の種類と栄養成分
R-1の正式な商品名は「明治プロビオヨーグルトR-1」です。
2009年から販売されているヨーグルトで、現在は食べるタイプ、ドリンクタイプ、低糖タイプ、The GOLDなどを展開しています。まず現時点の代表的な商品を比較します。
R-1の現行商品・栄養成分比較
| 商品 | 内容量 | カロリー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
|---|---|---|---|---|---|
| R-1 食べるタイプ | 112g | 89kcal | 3.9g | 3.4g | 10.8g |
| R-1 ドリンクタイプ | 112g | 71kcal | 3.3g | 0.6g | 13.2g |
| ドリンク 低糖・低カロリー | 112g | 49kcal | 3.3g | 0.6g | 7.5g |
| ドリンク 砂糖不使用甘さひかえめ | 112g | 41kcal | 3.3g | 0.6g | 5.5g |
| ドリンク The GOLD 低糖・低カロリー | 112g | 52kcal | 3.3g | 0.6g | 8.4g |
いずれも種類別名称は「発酵乳」です。
ドリンクタイプという名前ですが、一般的な清涼飲料水とは異なり、乳を発酵させて製造しています。
また、ドリンク通常品は1本当たり糖類11.7g、低糖・低カロリー品は6.5g、砂糖不使用品は3.4gです。
「砂糖不使用=糖類ゼロ」ではありません。乳由来の乳糖などが含まれるためです。
商品を選ぶ際には、乳酸菌だけでなく、栄養成分表示も確認したいところですね。
R-1の味や食感は?
以前、通常タイプと低脂肪タイプを食べ比べた際には、通常タイプはやや酸味が強く、比較的あっさりした風味だと感じました。
ミルクの濃厚さを楽しむヨーグルトというより、毎日の食生活に取り入れやすい商品という印象です。商品開発を経験した立場からすると、これは納得できる設計です。毎日食べることを想定するなら、濃厚で個性の強い風味より、飽きずに続けられる味が好まれる場合があります。
ただし、現在の全商品を改めて官能評価した結果ではなく、風味は商品改良によって変わる可能性があります。
1073R-1乳酸菌とは?普通の乳酸菌との違い
R-1で使用されている菌株の正式名称は、
Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1
です。
長い名前ですが、重要なのは最後の「OLL1073R-1」。これは菌株を区別するための名前です。
R-1はブルガリア菌の一種
ブルガリア菌は、ヨーグルトの製造で広く使用されている乳酸菌です。つまり、1073R-1乳酸菌は、まったく特殊な種類の微生物というわけではありません。一般的なヨーグルトにも使用されるブルガリア菌の中から、特定の性質に着目して選ばれた菌株です。
明治によると、同社が保有する約6,500株の乳酸菌から選抜されています。食品メーカーでは、このように同じ菌種の中から、発酵能力、風味、生理作用などが異なる菌株を選ぶことがあります。
菌種が同じでも、菌株が違えば性質まで同じとは限らない。ここが乳酸菌研究の面白いところです。
1073R-1乳酸菌の特徴はEPSの産生
1073R-1乳酸菌の大きな特徴が、EPSと呼ばれる成分を作り出すことです。EPSはExopolysaccharideの略で、日本語では「菌体外多糖」と呼ばれます。糖が多数結合した物質で、乳酸菌などの微生物が菌体の外側に産生します。
食品科学では、EPSは発酵乳の粘度や食感にも関係する成分として知られています。
一方、1073R-1乳酸菌のEPSは、免疫系に関する研究対象としても注目されてきました。
R-1乳酸菌のEPSはどのように働く?

私が乳酸菌の研究に関わっていた頃も、菌が作る多糖体は非常に興味深いテーマでした。ただし、ここでは「研究で示唆されていること」と「人の健康効果として証明されたこと」を分けて考える必要があります。
EPSとNK細胞の関係
R-1の研究でよく登場するのが、NK細胞です。NKはNatural Killerの略で、自然免疫に関わる細胞の一種です。ウイルスに感染した細胞などを認識し、排除する働きに関係しています。1073R-1乳酸菌を利用したヨーグルトについては、NK細胞の活性などを評価した研究があります。
ここで注意したいのは、NK細胞の活性が変化することと、実際に病気にかからなくなることは同じではないという点です。免疫系には多くの細胞や調節機構が関わっています。特定の免疫指標が上昇したとしても、それだけで感染症やがんの予防効果を断定することはできません。また、すべての免疫反応が強いほど健康に良いわけでもありません。
EPSが多ければ効果も大きい?
R-1のThe GOLDシリーズには、R-1乳酸菌EPSを6.6mg配合した商品があります。通常のR-1ドリンクタイプのEPS量3.3mgと比較して、2倍の量です。
ただし、EPSが2倍だから健康効果も2倍になる、という意味ではありません。
有効成分の量と健康上の作用は、必ずしも比例するわけではないからです。商品の機能を評価するには、実際の摂取量で人を対象とした研究が必要です。EPSの量は製品設計上の違いとして理解し、健康効果を過大評価しない方がよいでしょう。
R-1の健康効果に関する研究|実際に何が分かっている?
2026
1073R-1乳酸菌については、細胞試験・動物試験だけでなく、人を対象にした研究も行われています。代表的な研究を整理します。
| 研究 | 対象・規模 | 試験内容 | 主な結果と注意点 |
|---|---|---|---|
| 2010年 | 健康な高齢者142人 | ヨーグルトと牛乳を8~12週間比較 | NK細胞活性や風邪の発症リスクに差が報告された |
| 2023年 | 大学生・健康な成人 | 2つのランダム化比較試験でインフルエンザワクチン接種後の抗体を評価 | 一部の抗体価で差が見られた。感染予防効果そのものを評価した試験ではない |
| 2025年 | 小学生2,317人 | ヨーグルト摂取期間と非摂取期間を比較 | 累積欠席日数に差が見られたが、欠席した人数には有意差がなかった |
※対象者、評価項目、試験条件が異なるため、結果を単純に合算できるものではありません。
2010年|高齢者142人を対象とした研究
2010年にBritish Journal of Nutritionで発表された研究では、日本の2地域に住む健康な高齢者142人が対象になりました。一方のグループは1073R-1乳酸菌などで発酵させたヨーグルトを毎日90g摂取し、もう一方は牛乳100mLを摂取しました。
試験期間は地域によって8週間または12週間です。2つの研究を合わせた解析では、ヨーグルト群でNK細胞活性の増加や風邪の発症リスク低下が報告されました。
ただし、この研究から「R-1を飲めば誰でも風邪を予防できる」と言うことはできません。対象者が高齢者に限られており、人数や研究条件にも制約があるためです。
出典:Makino et al.(2010), British Journal of Nutrition
2023年|インフルエンザワクチンと抗体価の研究
2023年には、健康な成人を対象とした2つのランダム化二重盲検比較試験の結果が報告されています。
ヨーグルトを摂取したグループでは、インフルエンザワクチン接種後の一部の抗体価が、対照群より高くなりました。
非常に興味深い結果ですが、抗体価が上がることと、実際にインフルエンザへ感染しなくなることは別です。また、ヨーグルトがワクチンの代わりになるわけでもありません。
研究で確認されたのは、主にワクチンに対する免疫応答の変化です。
出典:Hemmi et al.(2023), Bioscience of Microbiota, Food and Health
2025年|小学生2,317人を対象とした研究
2025年には、日本の公立小学校6校、児童2,317人を対象とした研究が発表されました。この研究では、R-1に使用される菌株で発酵したヨーグルトの摂取期間と、摂取しない期間を比較しています。
結果として、欠席した人数そのものには統計的な有意差がありませんでしたが、累積欠席日数には有意差が見られました。また、体調に関するアンケートでも一部の改善が報告されています。
ただし、この研究には注意点があります。ランダム化されておらず、参加者がヨーグルトを摂取していることを知っている非盲検試験でした。さらに、比較対象が別のヨーグルトではなく非摂取期間だったため、乳酸菌そのものの作用と、ヨーグルトを食べることによる影響を完全に区別できません。
研究著者の多くには明治の社員も含まれています。大規模な研究ではありますが、これだけで風邪の予防効果が確定したと考えるのは早いでしょう。
出典:Tang et al.(2025), Discover Food
R-1は免疫力を高める?研究結果の正しい読み方
ここまでの研究を踏まえると、1073R-1乳酸菌を使用した発酵乳が、免疫に関係する指標や体調に影響する可能性はあります。ただし、私は食品メーカーで乳酸菌研究に関わった立場から、健康効果を説明するときに次の3点を重視しています。
① 細胞・動物・人の研究を区別すること
細胞試験で興味深い結果が出ても、人が食べたときに同じ効果があるとは限りません。
② 免疫指標と病気の発症を区別すること
NK細胞活性や抗体価の変化は重要な研究結果ですが、感染症の予防効果そのものとは区別する必要があります。
③ 研究に使った食品と市販商品を区別すること
研究で使用された菌株、摂取量、摂取期間、商品仕様が異なれば、結果をそのまま当てはめられるとは限りません。「免疫力が上がる」という便利な言葉だけで説明してしまうと、実際の研究が何を確認したのかが見えなくなります。乳酸菌と腸内環境、プロバイオティクスの基礎については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:乳酸菌と腸内環境の関係|プロバイオティクスの効果・種類を解説
R-1とヤクルト・ピルクル・一般的なヨーグルトの違い
R-1とヤクルト、ピルクルは、いずれも乳酸菌に関連する食品ですが、使用菌株と商品設計が異なります。
| 比較項目 | R-1 | ヤクルト | ピルクル | 一般的なヨーグルト |
|---|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 1073R-1乳酸菌 | シロタ株 | 独自の乳酸菌株 | 製品により異なる |
| 商品分類 | 発酵乳 | 乳製品乳酸菌飲料など | 乳製品乳酸菌飲料など | 発酵乳 |
| 主な形状 | 固形・ドリンク | ドリンク | ドリンク | 固形・ドリンク |
| 研究・商品設計 | EPSや免疫関連研究 | 腸内環境等に関する研究 | 商品ごとの機能・菌株の特徴 | 製品・菌株による |
大切なのは、菌数だけで優劣をつけないことです。
例えばR-1の特徴は、使用する菌株やEPSに関する研究にあります。
一方、ヤクルトはシロタ株について独自の研究を積み重ねています。
両者は研究対象も商品設計も異なるため、一つの数字で「どちらが健康に良い」と決めることはできません。具体的な乳酸菌飲料の比較はこちらで解説しています。
関連記事:ヤクルトとピルクルの違い|乳酸菌・栄養成分・価格を比較
また、R-1も通常のヨーグルトと同様に、たんぱく質やカルシウムなどを摂取できる乳製品です。発酵乳としての栄養面については以下の記事を参考にしてください。
関連記事:牛乳・ヨーグルト・チーズの違い|栄養・製造法・乳糖を比較
R-1は毎日飲むべき?いつ飲むのがおすすめ?
ここからは実際の飲み方についてです。
R-1は毎日飲まないと意味がない?
研究では8週間、12週間などの継続摂取が行われています。そのため、研究と同じような条件を考えるなら、継続して摂取することには意味があります。
ただし、1日飲み忘れたら効果がなくなるという根拠はありません。また、健康な人全員が毎日R-1を飲む必要があると証明されているわけでもありません。私なら、味、栄養成分、価格、続けやすさを考えて選びます。
無理に毎日飲むより、食生活全体のバランスを意識する方が重要です。
朝と夜、どちらに飲むのがおすすめ?
明治の公式Q&Aでは、飲む時間帯について特別な指定はありません。1日1本または1個を目安に、いつ食べてもよいと案内しています。
したがって、「朝でなければ意味がない」「寝る前が最も効果的」といった説明は避けるべきでしょう。自分が続けやすい時間帯で問題ありません。
R-1は温めても大丈夫?
明治によると、人肌程度であれば乳酸菌の働きへの影響はありません。
一方、高温になると乳酸菌は失活していき、ヨーグルトの分離や風味の変化も起こります。公式では60℃を超えると乳酸菌が死滅していくと説明しています。
EPSなどの成分と生菌の性質は異なりますが、加熱した商品の健康効果が同じになると確認されたわけではありません。基本的には、商品表示に従って冷蔵保存し、そのまま食べることをおすすめします。
R-1はトクホ・機能性表示食品なの?
健康効果の研究があることと、国の制度に基づいて機能を表示できることは別の話です。日本の保健機能食品には、主に次の制度があります。
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| 特定保健用食品(トクホ) | 国が商品ごとに審査し、表示を許可 |
| 機能性表示食品 | 事業者の責任で科学的根拠等を届け出て表示 |
| 一般食品 | 原則として特定の健康機能を表示できない |
一般的なR-1の標準商品を、トクホや疾病予防効果が認められた商品と混同しないようにしましょう。保健機能食品に該当するかどうかは、商品パッケージの制度上の表示で確認できます。
また、機能性表示食品であっても、国による個別の効果の審査を受けたトクホとは制度が異なります。メーカーが学術研究を行っていることと、消費者向けに表示できる機能は別なのです。
食品メーカーで研究開発や品質保証を経験すると、ここは非常に重要なポイントだと感じます。
結局R-1ヨーグルトはおすすめ?食品メーカー経験者としての評価
結論として、私はR-1をよく考えられた商品だと思っています。その理由は、特定の乳酸菌を選び、研究を継続し、商品ブランドとして育ててきたことです。
乳酸菌研究を経験した立場からすると、菌株の探索から商品化まで進めるのは簡単ではありません。発酵特性、味、保存性、製造条件など、さまざまな課題があります。その点で明治の研究開発力と商品化の能力は高く評価しています。
一方、健康効果については慎重に考えたいところです。
「研究成果があるから良い商品」と「誰でも病気になりにくくなる」は別の話。
個人的には、R-1を健康管理の中心にする必要はないと思います。
普段の食事、睡眠、運動、必要なワクチン接種などを基本にして、そのうえで食生活へ取り入れるという考え方が適切でしょう。購入するときは、味や栄養成分も確認してください。通常タイプ、低糖タイプ、砂糖不使用タイプなどから、自分に合う商品を選ぶのがおすすめです。
まとめ|R-1は特徴的な乳酸菌を使った発酵乳。ただし万能ではない
R-1ヨーグルトについて、重要なポイントを整理します。
- 1073R-1乳酸菌は、EPSを産生するブルガリア菌の一株
- EPSや免疫関連指標について、細胞試験・動物試験・ヒト試験が行われている
- 一部のヒト研究ではNK細胞活性、抗体価、風邪症状などに関連する結果が報告されている
- 研究結果だけで、すべての人に疾病予防効果があるとは言えない
- 毎日摂取することを想定した研究はあるが、健康な人全員に必須ではない
- 商品選びでは乳酸菌だけでなく、糖類、脂質、カロリー、価格も確認したい
私が食品メーカーで乳酸菌研究に関わっていて感じたのは、一つの菌株の特徴を明らかにし、人の健康との関係を科学的に評価することの難しさです。
だからこそ、R-1のように研究を続けている商品には興味を持っています。ただし、食品は薬ではありません。
「R-1を食べているから安心」と考えるのではなく、食生活全体を整えることが基本です。
興味がある人は、まず商品ごとの栄養成分を比較し、無理なく続けられるものを選んでみてくださいね!


