クワガタ飼育の醍醐味と言えば繁殖!産卵!
この記事ではクワガタの成虫飼育について解説しました。
今回は、難しい知識一切なし!飼育セットの組み方【産卵編】について解説します。
と言っても、各種クワガタの産卵条件も情報が氾濫しています…。
この記事は産卵の最適条件を示すものではありません。
あくまでも、
”とりあえずこんな感じでセットしたら、卵回収できたよ”
という実例を紹介しながら解説します。
それでは、クワガタの産卵セットについて、4つのパターンに分けて解説していきましょう。
基本情報(用語集)
ここでは、初心者向けに、産卵に関する基本用語を解説します。
産卵木:産卵に使う朽木。コナラやクヌギ。一晩バケツかなんかで水に漬けといて、一晩乾かせば大体OK。
菌糸瓶:広葉樹の木クズにキノコの菌を摂取して腐朽させたものを詰めた瓶。微生物が材のリグニンやセルロースを分解して、幼虫が吸収できる栄養分に変換する。オオクワの価格暴落を招いた張本人。幼虫をこれで育てれば簡単にデカいクワガタが育つ。
オオヒラタケ:菌糸瓶の種菌の一種。一番メジャー。
ヒラタケ:同上。オオヒラタケより若干低温寄り?
カワラタケ:ヒラタケよりさらに低温寄り。オウゴンオニクワガタやタランドゥスの幼虫にはこの菌糸を使うことが多い。というか、あえて使うのはこの2種くらい。自然界ではこいつが生えてる倒木で幼虫がよく見つかる。
カワラ材:カワラタケを接種した産卵木。オウゴンオニクワガタ、タランドゥスの産卵にはこれかレイシ材を使う。
レイシ材:マンネンタケを接種した産卵木(霊芝材)。オウゴンオニクワガタ、タランドゥスがよく産む。カワラ材、レイシ材は、柔らかい材が好きなノコギリクワガタ系、ニジイロクワガタやパプキンにも最適。
菌糸ブロック:菌糸を摂取した木クズのブロック。これをバラして瓶に詰め、2週間待てば菌糸瓶が出来上がる。そのままケースに入れとけばオオクワがモリモリ産卵する。
生オガ:広葉樹の材を粉砕したもの。発酵しておらず、幼虫の餌には不適。添加剤を入れて自作の発酵マットを作ったりとか、成虫飼育に使ったりとか。
1次発酵マット:生オガを発酵させて、ある程度リグニン、セルロースが分解されたマット。幼虫の餌や産卵に使用できるが、栄養価がまだ低いので、大きい個体は育ちにくい。
2次発酵マット:1次発酵マットをさらに発酵させたもの。さらに木質が分解されている。一般的なクワガタの幼虫はこれでよく育つ。
完熟マット:完全に木質が分解されたマット。ミヤマクワガタやカブトムシの幼虫に最適。見た目は黒土に近い。
腐葉土:広葉樹の葉や材を腐朽させたもの。クワガタには使用しない。カブトの幼虫によく使う。
針葉樹マット:成虫の飼育に用いる。ダニがつきにくい。幼虫の餌には使えない。
ペアリング:オスとメスを同居させてお見合いさせること。気性が荒い種は、監視下でハンドペアリングさせるが、大体2週間くらい同居させればメスは産卵セットへGOで大丈夫。
成熟:クワガタが産卵可能な状態になること。必要な期間は種によって大きく異なる。オオクワで半年〜。餌を食い出せば成熟の印。
その1:基本形(産卵木埋め込みタイプ)
基本セット
クワガタの産卵セットの基本形ですね。産卵木に産む種類は大抵これで産みます。
マットを数cmガッチガチに固詰めしたあと、加水・陰干しした産卵木を置いて、その周りをモフモフのマットで埋める形です。
マットの種類は何でも良いのですが、ヒラタクワガタなど、マットにも産卵する種類のために、一次発酵マットか二次発酵マットを使用すると良いでしょう。
産卵中は潜って出て来ないことも多いですが、餌は複数置いておくことを忘れずに。高タンパクゼリーなど、栄養満点ゼリーでに力をつけてもらいましょう。
1つ1つ集めるより、産卵セット丸ごと買うとお得です。
オオクワガタやヒラタクワガタなど、土や産卵剤の硬さに好みはありますが、そこまで神経質ではありません。
一般的なクワガタ産卵セットでかんたんに産卵できますよ。
charmのやつが全揃いで楽ですね。
オオクワ用とヒラタ用がありますが、マットが生オガか発酵マットかの違いです。
材から幼虫が出てくることもあるので、発酵マットを使っているヒラタ用がオススメです。
産卵実績
私の産卵実績と、飼育条件です。
【通常の産卵木使用】
オオクワガタ:クヌギ産卵木に一次発酵マットで、夏〜秋(18〜30℃)であれば常温飼育でもモリモリ産んでくれます。材を増やせばその分回収量は増えますが、産卵木1個でも10匹は固いので、一人で飼う分には十分です。
コクワガタ:オオクワガタと同じ。この2匹はマットじゃなきゃなんでも産む…。オオクワ、コクワの産卵欲は置いといて、これ以外は温度管理した方が良いでしょう。25℃前後であれば、低地住みの種、高地住みの種ともに産んでくれます。
ヒラタクワガタ:オオクワガタよりもちょい条件が厳しめ。真夏の常温飼育だと回収ゼロもありました。柔らかめの方がよく産むので、加水後の乾燥は半日程度にしています。マットにもよく産み、2015年度は国産ヒラタで、コナラ産卵木1ヶ、二次発酵マットの組み合わせで24匹(産卵木17匹、マット7匹)取れました。外国産も同様の産卵セットで問題なし。
【カワラ材、レイシ材使用】
この種類は”その2:転がし(産卵木直置きタイプ)”の項を見てください。理由は後述。
その2:転がし(産卵木直置きタイプ)
基本セット
マットを薄く引いて、産卵木を直置きするだけ。
ヒラタクワガタやノコギリクワガタなど、マットにも産卵する種類には不適です。ちゃんと埋めてあげましょう。
オオクワガタなんかは、産卵木直置きでも普通に産みますが、このパターンだとカビが生えやすいので、埋めてあげる方が無難です。
この産卵セットは、カワラ材、レイシ材で産む種に適用します。
別に埋めても問題ありませんが、人工レイシ材など、菌体で覆われているような産卵木を埋めるとマットにも菌がどんどん広がっていきます。
単純に見た目が悪い。笑
クワガタ飼育ブログなんか見てると、カワラ材、レイシ材を使用している方は直置きタイプが多いですね。
埋め込みタイプでも実績はあるんですが、結局どの種類も”人工カワラ材、発酵マットに直置き”が一番楽で、一番産みました。
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人工カワラ材は、加水なしでそのまま飼育容器にブチ込めばOKなので、ズボラ飼育には最適です。笑
産卵実績
メタリフェルホソアカクワガタ:レイシ材使用でよく産みます。最高記録は材1つで18ヶ。飼育温度25℃以下を厳守しました。高地に生息する種なので、幼虫、成虫ともに低温管理(18〜25℃)が良いでしょう。マットは完熟マットで。マットにもよく産みます。
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オウゴンオニクワガタ:カワラ材、レイシ材によく産みます。通常の産卵木やマットでも実績はあるようですが、私は成功したことないです…。穴は開けるものの産んでくれない…。
タランドゥスオオツヤクワガタ:こいつもカワラ材、レイシ材向きです。産卵木&埋め込みでも1回産みましたが…(4個)。その時は柔らかい材と完熟マットのセットでした。
ディディエールシカクワガタ:私が飼育した唯一のシカクワガタです。普通の産卵木じゃ産みにくいらしい。1回だけ完熟マットと人工カワラ材のセットで産んでくれました。名前がかっこいい。ディディエール。
その3:マット産みタイプ
基本セット
マットを入れるだけなので、工夫もなにもあったもんじゃないですが。
ミヤマクワガタやノコギリクワガタ、ニジイロクワガタといったマット産みの種の産卵セットです。これらの種は柔らかいナラ材にも産みますが、マットを好むのでわざわざ産卵木を使用する必要もないでしょう。
種類によって、マットの発酵レベルや湿度に好みがあります。詳細は産卵実績へ。
産卵実績
ニジイロクワガタ:色虫代表ですね。どギツい光沢を放つ割に、安価で産卵も簡単。湿度高めの発酵マットを入れておけば、まず間違いなく産みます。温度は25℃前後。もうちょっと低い方が良いみたいですが、この条件で100%(6/6)卵が回収できてます。
パプアキンイロクワガタ:パプキン!パプキン!産卵セットはニジイロクワガタと全く一緒。
ギラファノコギリクワガタ:ギラファもニジイロクワガタと同じセットですね。ニジイロクワガタより少し加水少なめが良いとか。これらの産卵セットには、最近はだいたいペット通販大手のcharmで売っているXLマットを使ってますね。国産ノコも同じ。
ミヤマクワガタ:この種類だけはマットの種類に注意!ガンガンに発酵した完熟マットを使用しましょう。
特に国産は真っ黒に完熟したマットによく産みます。
高地種なので温度は低めで。ズボラ飼育の私はどの種も同じ部屋で飼うので25℃程度になりますが、もう少し低温が最適のようです。
ユダイクスミヤマクワガタは二次発酵マットにも産みました。ミヤマは国産が一番産卵が難しいような…。
その4:菌床ブチ込みタイプ
基本セット
ズボラ飼育の産卵セットといえばこれ!と言っても良いかもしれません。
菌糸ブロックや菌糸ボトルを直置きするタイプです。
この利点は何と言っても幼虫が生まれた直後から菌を摂取できること。オオクワガタでサイズを求める方におすすめですね。
ちなみに私はオオクワの産卵には基本的に月夜野のBasic菌糸ブロックを直置きしてます。
また、私的に二大産卵難しい種である、タランドゥスオオツヤクワガタ、オウゴンオニクワガタは、カワラタケ菌床ボトルを直置きしてあげると高確率で産んでくれます。
産卵実績
オオクワガタ:もうマット以外なら何でも産むなお前は…。ここ数年は産卵に菌床ブロックしか使ってません。
最近はケースに菌床だけ詰めた産卵セットも売ってます。
この菌床産卵セットがオオクワガタの産卵率、産卵数が最も高かったです↓
◆オオクワガタ専用:産卵初めてセット※成熟した国産オオクワガタを入れるだけ!!
オウゴンオニクワガタ:カワラタケ菌床ボトル直置きを1回試しましたが、5個だけ産んでくれました。人工カワラ材に爆産したこともありますが、これくらいの量が一人で飼う分にはちょうど良い。これからは菌床ボトル使うかなー。
タランドゥスオオツヤクワガタ:こいつもカワラタケ菌床ボトル1回試行で3個ゲット。ちょい少なめですね。温度条件をしっかりすればもうちょい良い成績出るような気がする。
まとめ
外国産、国内産クワガタ産卵セットについて解説しました。
産卵セットも突き詰めると、湿度、温度、産卵材、材の大きさ、ケースの広さ、深さ…
奥が深いものです。
そういう深い知識を求めていた方には、もしかするとずいぶん薄い内容だな!と思われるかもしれません。
ただ、1つだけ考えてみてください。
そんなに大量に卵が必要ですか??
クワガタで商売をしている方や、サイズギネスを狙ってる方は、少しでも多く卵を回収できたほうが良いでしょう。
ですが、多くのブリーダーの方は、クワガタの飼育を楽しみたいだけではないでしょうか。
私自身、産卵セットを組んだはいいものの、爆産しすぎて、友人に配りまくったことがあります。
どのクワガタも、材とマットの種類を間違えずに、エアコンが効いた部屋で育てればまず間違いなく卵を産んでくれるんですよね。
そう考えれば、個人で楽しむ分には、そんなに条件詰めなくてもいいじゃない…ってのが私の考えなのです。ズボラ飼育。
10個100個産んだはいいものの、スペースがなかったり、最悪のパターンだと逃してしまう…なーんて事にならないようにしないといけないですね。
適切な飼育量で、楽しくブリードしていきましょう!