家庭でできる簡単なスイーツがあったら良いですよね。
今日は、特別な器具やオーブンなどを使わずに出来て、高級感も出せる美味しいスイーツレシピを紹介するとともに、人間の『味覚』について解説していきます。
食品の五味(酸味・甘味・苦味・塩味・旨み)をしっかりと考えながら料理していますか?
今回はスイーツに着目して甘味・酸味・苦味の相性と相乗効果を考えながら、簡単ゼリースイーツを作ってみようと思います!
ティーゼリーのベリーソース添えのレシピ
1.『甘味』と『苦味』のティーゼリー
さて、今回の目的は『味の相性』を調べる事です。
ティーゼリーを使ったスイーツを紹介するにあたって、今回は紅茶を2種類用意しました。
午後ティー!
ピーチティーでは甘めのティーゼリーを作ります。レモンティー、アップルティーでも代用可能です。
右の『おいしい無糖』では苦いティーゼリーを作ります。
それでは、ゼリー部分のレシピを紹介していきましょう。
ゼリーは寒天で作ります。ゼラチンでも良いのですが、寒天は沸騰させて冷ませば良いだけなので、ズボラ料理には最適です。扱いやすさを優先しました。舌触りはゼラチンの方が滑らかですね。
添加量は箱の説明の通り、500gに1袋(4g)とします。
まず、ティーゼリーの前に、ミルクゼリー(要は牛乳寒天)を作っていきます。ミルクにはわずかな甘味の他に、風味をまろやかにする役目があります。
また、ティーゼリーもベリーソースも濃い色なので、良いコントラストになりますよ。
煮立てたらすぐにティーグラスに注いで、粗熱を取った上で冷蔵庫で冷まし、固めます。
その間にティーゼリーを作りましょう。こちらも牛乳と同じ手順で作ります。
ただし、ティーゼリーはグラスにはまだ注がずに、別容器で冷ましておきます。
固まってからクラッシュして盛り付けしてきましょう。
ゼリー部分はこれでおしまい!簡単です!
2.『甘味』と『酸味』のベリーソース
今回はベリーソースで味付けしていきます。
本当はいちごを買ってきて作りたかったのですが、あいにく季節外れ…
冷凍品で代用します。ブルーベリーでもストロベリーでもお好みのベリーを使いましょう!
このベリーミックスを使って甘いベリーソースと酸っぱいベリーソースを作っていきます。
甘いベリーソースのレシピ
- ベリーミックス:100g
- 砂糖:30g
- レモン汁:適量(2〜3滴)
以上です。今日は風味づけでラム酒(5cc)も入れましたが、あってもなくても良いです。
これらを加えて煮立てた後に冷まします。
果実の形を崩さないように注意しましょう。
酸っぱいベリーソースのレシピ
- ベリーミックス:100g
- 砂糖:5g
- レモン汁:5cc(小さじ1)
手順は一緒です。舐めてみるとかなり酸っぱいです!
果たしでゼリー達と組み合わさってどうなるのか…。
3.盛り付け
固まったティーゼリーを
スプーンで崩しながら、牛乳寒天の上に乗せていきます。
こんもり。
ここにベリーソースを乗せていきます。
うーん、美味しそうだけどブラックベリーがちょいグロテスクw
ストロベリーだけの方が綺麗だったかもしれない。
ちなみに前にストロベリーとモモ缶で作ったものが…
うむ。見た目が良いw
それは置いといて、ベリーソースを乗せたらセルフィーユを添えて完成です。
今回の目的は味の比較です!(白目)
こんな感じになりました。
それでは、食レポをしつつ、味の相性を評価してみましょう。
完成品の比較:美味しい味の組合せは?
今回作ったのは、この4つの組み合わせです。
1.甘いティーゼリー&甘いベリーソース
うん。
甘い!
いかにもスイーツって感じの一品です。食べてみるとわかるのですが、味付けしていない牛乳からも甘味が広がり、甘い+甘い+甘いの組み合わせですw
デザートには良いですが、食後や朝にはちょっとキツイかもしれません。子供が好きそうな味です。
ただ、紅茶の香りが高級感を高めてくれるのに加え、果実の酸味が効いているので、甘々でも安っぽくなりません。ピーチとの相性もOK!
まぁまぁの出来ということで、5段階で星3つとします。
2.苦いティーゼリー&甘いベリーソース
これは美味い!
ベリーソースの甘酸っぱさを無糖ティーゼリーの苦味が上手く中和しています。
甘味・酸味・苦味のバランスがちょうど良く、高級感は4種の中でナンバーワンですね!
甘さ控えめが好きな人におすすめしたい一品です。
甲乙つけがたいですが、3番との相対評価で星4つとしました。
3.甘いティーゼリー&酸っぱいベリーソース
個人的にはこれが一番美味しかった!
単品で食べると非常に酸っぱかったベリーソースですが、ピーチティーの甘味で中和され、非常に食べやすくなりました。
酸味も甘味もしっかりと主張されており、食欲を刺激する組み合わせです。
また、牛乳寒天と混ぜて食べることでまろやかさが増し、優しい味わいに変化します。バランスも良く、色んな味、食感が楽しめる組み合わせ。
文句無しの星5つです。
4.苦いティーゼリー&酸っぱいベリーソース
最初から想像はしていたのですが…
まっずい!
さすがに甘味が圧倒的に足りないですな。
食べれなくはないですが、スイーツとしては不合格です。星1つ。
はちみつ等をかければ美味しくなると思います。
甘くないだけでなく、全体的に風味が弱く、ミルク、紅茶、ベリーそれぞれの味が全く引き立ってないですね…。
それでは、これらの結果を『人間の味覚』に着目して考察していきましょう。
甘味、酸味、苦味の相性と相乗効果
味の刺激と中和
味の組み合わせといえば味博士の研究所ですね!
この記事では、
- 刺激系の風味:塩味、酸味
- 中和系の風味:甘味、苦味、旨味
と定義しています。
これらを交互に摂取すると食欲が止まらなくなるという話…甘いお菓子と塩っぱいお菓子を交互に食べると止まらなくなる等の現象ですね。
これ以外にも、食品科学には『マスキング』という言葉があります。これは強い匂いや味を和らげる効果を表します。消臭剤等にも使われる用語です。
今回作ったスイーツだと、2番(甘苺+苦茶)と3番(酸苺+甘茶)に該当します。
2番では、紅茶の苦みを甘いソースがマスキングし、苦みを抑えて紅茶の風味だけが際立った形になります。
3番では、強い酸味を持つソースを甘いティーゼリーがマスキングし、酸味を抑えて果実の風味が際立った形になります。
スイーツ作りでは甘味をベースに、苦味や酸味と組み合わせると美味しくなります。
これは、甘味が素材の風味を残したまま、苦味や酸味を和らげる役目を持っているからです。
味の相乗効果と風味強化
さて、もう一つ、甘味には果実の風味を強化する効果があります。
僕は食品メーカーに勤めていますが、例えば、飲料の開発で果汁を同じ量入れた場合、ベースの糖分が高い方が果汁の風味が際立って感じられることが多々あります。
- 酸味をマスキングすることで、素材特有の風味を感じやすくなる。
- 単純に甘味が強くなることで果実の味が強くなったと勘違いする。
定性的な評価になりがちですが、主な原因はこの2つです。
ある意味マジックのような話ですが、五味は打ち消しと相乗効果のバトルのようなものです。
4番が美味しくなかったのを『甘くないから』と言ってしまえば終わりですが、『食欲と風味強化のベースとなる甘味が足りていない』と言い換えると、味の組合せの重要性が伝わってきます。
また、酸味には苦味を増強する効果もあります。みかんを食べた後にコーヒーを飲むといつもより苦く感じるはずです。
甘さが下がったのに、苦味は増している…これでは美味しいスイーツは出来ませんね。
また1番がやたら甘く感じたのは先味が強い果糖(ピーチティ)と中味が強い砂糖(ベリーソース)と後味が強いブドウ糖(ピーチティ)が混ざり、甘味を長く強く感じたためです。
甘味同士にも相乗効果があると言われますが、糖の種類でも甘味の強さや感じ方は大きく異なります。
味覚の感知スピード
食品の開発では、五味の感知スピードと持続時間が重要な要素になります。
例えば、
- 甘味【持続型】:ゆっくりと長く続く(甘味料除く)
- 酸味【先味型】:素早く出てすぐ消える
- 苦味【持続型】:ゆっくりと長く続く
- 塩味【先味型】:素早く出てすぐ消える
- 旨味【中味・後味型】:後から出てくる
といった形です。
甘味と酸味の組合せだと最初に酸味が出てきます。
しかし、酸味が頂点に達する前に甘味が表れマスキングしてくれるため、穏やかな味わいになるのです。
スイーツからは離れますが、汁物を塩味だけで整えると物足りないですよね。
旨味ダシを添加することで、塩味が消失すると同時に旨味が現れ、美味しさを長時間味わうことが出来るのです。
五味の相性を理解すれば、スイーツに関わらず、料理を失敗することは無くなります。
食材や調味料を選ぶときに、その材料の『役目』は何か、イメージしながら料理が出来るようになると素晴らしいですね。
今回紹介したティーゼリーはヨーグルトに入れても美味しいですし、ベリーソースはフレンチトーストやアイス等、何にかけても万能です。
使いやすくて見栄えも良くなるスイーツ必須の2アイテム!是非お試しください!美味しいですよ!
今日のまとめ
女性が料理を作っている時にこういうウンチクを言うと機嫌を損なうので注意しましょう。
五味の組合せを面白く解説している良書です。
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