新卒と違い、転職活動では実績とスキル、経験が求められます。
それまでの会社で、どんな経験をしたか、何が得られたか…
主体的に書き直せば『どんなスキルを選んできたか』
この選択を間違え続けると、会社でも、そして転職市場でもいわゆる『通用しない人材』になってしまいます。
独占資格がある専門職はもちろん、プログラマーや営業職などはスキルが可視化されやすく、転職も盛んです。
対して、私のフィールドである研究開発職、特にメーカーの研究職は転職市場の流動性がとても低いのが現状。
定着率の高さに加え、求人の幅が狭く、例えば使用経験のある機器や実験テクニックが細かく指定されます。
そのため、ただでさえ少ない求人が『受けてみたいけどスキルが合わない…』となりがちです。
では、どのようにスキルを選び、活用・発展させていけば良いのか?
研究職に限らず、社会人にとって大切なスキル習得のTipsを4つのポイントで解説していきます。
はじめに:筆者のバックグラウンド
【資格】危険物取扱者など一般的な資格をいくつか
【経歴】修士卒→準大手生産技術→大手研究→中規模メーカー研究(マネージャー)→外資研究(管理職)
【語学】TOEIC910(最新890)
私は新卒からメーカーの研究開発職として働いていますが、10月から新しい職場となり、次で31歳4社目。この職種では異例の数です。中規模メーカーから日系大手、外資と様々…。
とはいえ、ネガティブな転職ではなく、それぞれ意図を持ってキャリアチェンジできています。
研究職としては、私のバックグラウンドや個々のスキルはいたって『平凡』クラス。
大手では東大や京大の院卒が大部分を占めてしまう世界です。
すなわち、転職活動では学歴や社歴が華やかでも『スキル』や『経験』を考えないと飛び抜けられないということ。
これから解説する4つのポイントを意識すれば転職でも困ることは無いでしょう。
転職 × スキルのポイント①|組み合わせ
1つのスキルだけでは小さい世界でしか通用できません。
経験は線ではなく『面積』や『体積』で表現されます。
いくつかのスキルを組み合わせることによって、自分のスキルの体積を膨らませるイメージです。
これまで会社で得られたスキル、経験を棚卸してみましょう。
研究職なら大学院時代の研究内容も使えます。
ここでは5W1Hを意識します。
- 商材(タイヤ、医療機器、調味料など)
- 職種(基礎研究、生産技術、法人営業など)
- 仕様ツール(プログラミング言語、実験機器、経理ソフトなど)
- 経験年数
これらで表現できる『スキル』がいくつ見つかったでしょうか。
その数が転職活動の幅を広げる1つの目安になります。
そこに『実績』が伴えば文句なしですが、その点は後述します。
転職 × スキルのポイント②|シナジー
①で抽出したスキルはどのような関係でしょうか。
経験として昇華するには、スキルが相乗関係にならないといけません。スキルのシナジーと言ったほうがわかりやすいでしょうか。
ただ、シナジーは意外なところにも見つかるもの。
『開発2年、営業2年』という一見中途半端な経験でも『顧客視点のあるエンジニア』『技術に強い営業マン』と言い換えれば貴重な人材に早変わりです。これがこの記事の本質でもあります。
しかし『自動車開発2年、医療事務2年』だとさすがに相乗関係は見つけられませんね。これではスキルを”組み合わる”ことは難しくなります。
私は”新卒研究職の工場研修”は賛成派(ただし短期)なのですが、それはこの視野を養ってもらいたいからでもあります。
『〇〇から〇〇までできる』の〇〇を埋めて、どれだけ魅力的な言葉が作れるか試してみましょう。
転職 × スキルのポイント③|深さ
個々のスキル、経験がどのレベルにあるかも重要な要素です。
『どのレベルにあるか』というのも曖昧な表現ですが、キャリアにおいては3つのレベルに分ければわかりやすいでしょう。
例えば専門職なら、ある技術や操作に関して、
- Level 1:1回でも経験したことがある
- Level 2:その技術や業務を独力で十分扱える
- Level 3:その経験、スキルが絡むプロジェクトで実績を残している
この3段階にカテゴライズします。
短期業務やヘルプ、研修中の操作であっても『経験がある』には間違いありません。
0と1は全く違います。仮に新しい環境でその経験が求められても、1度でも経験があれば学習力、吸収力は段違いです。
ただし、Level 1で評価されるのは、あるいは実績と言って良いのは第二新卒まで。
中堅以降も『経験あり』はアピールすべきですが、自己責任で…。
Level 2、Level 3からは即戦力ラインです。自信を持ってPRしましょう。
実績は『経験がある』のこれ以上ない証拠になります。
いずれにしても、転職が決まったら『転職後に必要なスキル、経験を細かくリサーチし、入社までにインプットを増やしておく』くらいは必須事項。
面接でもこのあたりを質問できると良いですね。
インプットの選定に活かせつつ、面接官の評価も上がるでしょう。
転職 × スキルのポイント④|汎用性
さて、私は基礎研究、応用研究、商品開発、生産技術と渡り歩いてきました。
特に専門職で困るのがスキルの汎用性です。
狭いフィールドでしか役に立たないスキル…
狭く深く生きるのも良いですが、転職活動ではやや動きづらくなるのがネックです。
スキルの汎用性は以下の4レベルでカテゴライズしましょう。
- Level 0:その会社でしか使えない
- Level 1:同業他社の同職種なら活用できる
- Level 2:同業他社の異なる職種でも活用できる
- Level 3:他業界・他職種でも活用できる
”潰しがきかない”研究職を例に挙げましょう。
実験操作の中でも『遺伝子組み換え操作』は生命科学系の研究でしか使えません。
ただし『高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の操作』は、食品、化学、化粧品業界の研究職、商品開発、品質管理などで汎用的に使える分析スキルです。
同じフィールドのスキルでも、扱う機器が違うだけで汎用性は変わります。
隣で同じような仕事をしてる人がいつの間にか『外でも通用する人間』になっているかも!?
対して自分は…?
ここまで意識できれば『異業種、異職種への転職成功』も視野に入ってきますよ。
おわりに
重要なのは、
”この仕事は自分のどんなスキルにつながるか”
”この仕事は自分の糧になるか”
を軸にセルフマネジメントできるかどうか。
これが転職成功のカギになります。
会社にスキル()身につけさせてもらおうって人が多くて驚くんだけど、能力くらい主体的に身につけろよ。
会社でスキルがつかない〜ってそれただの無能や。— みるおか (@miru_oka87) 2018年8月4日
多くの人が受け身に生きてれば『いつの間にか能力がつく』と勘違いしているのも事実です。
残念ながら、そこまで教育体制が整っている企業はほんのわずか。
自己防衛ではないですが、スキル・経験は自分で取りにいくものと認識しましょう。
”これができれば”転職は難しくない世の中になりました。
しっかりとスキルを身につけてキャリアアップしていきましょう。それでは!