企業の採用HPでの『笑顔の社員』だけは信じてはいけない

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最近なんかブラック企業の話題が多いですね。
激務だとか、パワハラだとか、人間関係だとか。
このご時世、やっぱりその手の話がウケるんですかね…?

僕は明るい話だとか、専門分野の知識を中心にブログを組み立てたいと思ってるので、そういった話は、あまり筆が進まないというのが正直な所。

というわけで、今日は僕が以前勤めていたブラック企業の話をします。

やっぱ不幸な話は筆が進むよね!

ストレスや黒歴史ほど記事のネタを生むものはないからね。

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ブラック企業での生活

残業の定義

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僕は今の会社が3社目です。

いずれも食品メーカーで、技術系(研究、開発、製造)や企画など、手広くやってきました。

今は良いペースで働けてるんですが、以前勤めていたのが、いわゆるブラック企業でした。

研究開発職ってホワイトなイメージが強いんですが、案外そうでもなくて。

規定労働時間は『8:30〜17:00』なんですが、もちろん17:00に帰る人なんていません。

再早で21:00、これはレアなケースで日付が変わることも多々ありました。

早いと21:00ってのは、市バスの終バスが21:00だったんです。

茨城の田舎なんてこんなもん…。

あ、研究所や工場は田舎にあって、駅が近くにないことも多いのです。

なので、みんな終バスを逃してからを『残業』と呼んでいました。

なお、21:00以降は残業代が出るかはまた別の話。

『残業時間は月5〜10時間』というのが暗黙の了解でした。他のブラック企業に比べればマシな方かな。

あ、工場スタッフは車通勤OKなのですが、

『夜勤のない研究職は車通勤禁止』

という謎のルールがあったんです。

現状を知らない人事部の判断です。『安全上のため』なんだって。

21:00を過ぎると、最寄り駅まで30分以上歩きます。

終点を逃した場合はタクシーか徒歩。

僕はまだアパートが近かったので自転車で帰ってました。

それでも1時間弱かかります。

休日も調べ物

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『週休2日制』なので土日は休みです。

ですが、研究開発職には、休日に、

『他社の情報収集』『特許・論文調査』

というタスクが課せられていました。

どんどん業務が増えていく中

『調べ物は業務にあらず』

という暗黙のルールが生まれました。

実験、試作以外のデスクワークは労働じゃないとの判断です。

そもそも実験でも残業代はほぼ出ないので関係無いんですが。

なので、毎週10報…多いと50報にも及ぶ特許や論文を調査してました。

小売店に視察に行ったり、競合品を買って調査することもあります。

最近の食品業界は特許で技術を囲い込もうという風潮が強いのです。

自社の技術や配合が特許で抑えられそうなら、先行技術を以って潰しにいく必要があります。

細かい数字まで全て目を通す必要がある特許や論文…

土日は平気で潰れていきました。

上司のタスクマネジメント

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上司は、経営陣からの自部署の評価を上げるのに躍起になっていました。

基本的に定時(21:00)に帰ると『アイツ、仕事の負荷足りないのかな?』という判断で仕事が増えていきます。

かといって、あえて残っていると、『仕事が遅い、もっと効率的にできるだろ』という判断で仕事が増えていきます。

頑張って仕事をこなしていると、『仕事ができるヤツだ』という判断で仕事が増えていきます。

そしてスタッフが心身を犠牲にしながら、死に物狂いで実績を残していると、『あの部署に任せれば良い仕事をする』と上層部に判断され、仕事が増えていきます。

我々は、深夜まで”全力”で働くことしか許されませんでした。

人間関係

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ウチの部署だけかもしれませんが、人間性も残念でした。

研究所内で配置換えがあり、新しいテーマで実験を始めた時です。

同じグループには同い年(中途)の社員がおり、彼に機器の使用法等を教わることになりました。

彼は『学歴』に拘りがあるタイプ。

僕も彼もいわゆる『旧帝大院卒』なんですが、ランキング的には私の母校の方が上位でした(大して変わんねーんだけど)。

ことあるごとに、

『●●大の人は、こういう機器扱えないんですかぁ?』

みたいな発言をしてきました。

実験ミスがあった時は、

『wwwまぁセンスなかったと思って諦めてくださいw』

と言われたこともあります。

仕事じゃなきゃ殴ってました。

あと上司もクソでした。

僕も適度にパワハラに遭ってたんですが、気の弱いサブリーダーが一番のターゲットでした。

ある日、上司の机にはが置いてありました。

目の前はサブリーダーの机。

『なんでこんな所に鏡置いてるんですか?』

と聞いたら、

『いや、アイツ気持ち悪いじゃんww気づかねーかな?と思ってwww』

これが『大企業』と言われるメーカーの管理職のセリフです。

不眠から退職まで

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基本的に、仕事以外は『食うか寝るか』でした。

僕のルーティンは、

  • 仕事→24時頃帰宅→疲れて自炊できずコンビニ飯→寝る
  • 仕事→24時頃帰宅→疲れて自炊できずコンビニ飯→調べ物→寝る

のどちらかでした。

ですが、次第に不眠症になっていきました。

元々かなり寝つきは悪いのですが…

『(朝が来るのが怖い)』

眠らないと仕事にならないのに、この考えに囚われ、眠れなかったのです。

ストレスも重なり、僕はもう限界だ、と病院にかけこみました。

『精神的に限界です』

ではありません。

『眠らないと仕事にならないので、何か睡眠薬のようなものを下さい。』

『僕は仕事をしないといけないんです。』

立派な”社畜”でした。

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ホワイト企業に潜り込んで

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結局、僕はこの会社を退職しました。

辞めることを覚悟の上で有給を取り、転職活動をしました。

転職活動がバレる以前に、有給なんて使えば、立場は地に落ちます。

転職なんてできるのかな…と思ってたのですが、

『食品加工を中心に研究や商品開発まで幅広く携わり、製造ライン導入まで経験済みです。マーケティングに従事したことはないですが、市場調査や特許調査から客観的に戦略を立てていました。あと旧帝大院卒でTOEIC910点です』

幸い、これまでの会社ではゴミ扱いだった実績を評価してくれる企業が、いくつか見つかりました。

今の会社は、残業代がつきます。

面談で話し合ったあと、仕事の割り振りが決まります。

仕事を教えてくれる人がいます。

仕事帰りに空がまだ明るいという現象も初めて体験しました。

『(この時間に帰されて僕は何をしたら良いんだ?)』

という悩みも出てきました。

体験したことの無い焦りから、上司との面談で、

『たまに手が空くことがあるので、もう少し仕事を下さい。』

と言ってしまったこともあります。

『そういう時は、専門書を読んで勉強しといて。』

と言われました。

少し涙が出そうになりました。

どうやら、社畜根性は抜け切れていないようです。

今の会社では生産から開発、企画まで手広く担当する大変さはありますが、正直前の会社のことを考えれば、なんてことはありません。

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辞めてから振り返ること

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僕が保存している一枚の『スクリーンショット』があります。

ちょっと疲れた時、落ち込んだ時、人間関係に困った時に見る写真です。

それは、

前の会社のHPトップの写真

です。

僕は、これを見ると元気になります。

『この時と比べれば、今の人間関係なんて天国だ』

 

『この時と比べれば、今の業務量なんてチョロいよな』

 

『この頃と比べれば、今の僕は間違いなく幸せだ』

僕は、前の会社の写真を『おまもり』として保存しています。

以前、ふと僕は前の会社の採用HPを見てみました。

そこには、社員の集合写真が写っていました。

とても不気味でした。

彼らは皆、屈託の無い笑顔で写っているのです。

隣同士で笑顔で写ってる彼らは『使えない』『クソ野郎』と陰口を叩き合う中です。

最前列に笑顔で映る管理職は、毎年のように誰かを鬱で病院送りにしています。

華やかな女子達の笑顔の真ん中には、当時仲間外れにされていた女性がいました。

楽しそうな笑顔で映る彼らは皆、仕事中は険しい顔で、

『こんな会社潰れれば良い』

『こないだ大学戻った時、就活中の後輩に、この会社だけは止めとけって言っておいた』

『アイツどっか飛ばされねーかな…』

『使えねー消えて欲しい』

と言っていました。

前の会社は、某掲示板サイトでは『ホワイト企業』に挙げられていることもあります。

採用HPの笑顔の写真…

この写真を見て入ってくる学生たちは、働き出して何を思うのか…

『こないだ大学戻った時、就活中の後輩に、この会社だけは止めとけって言っておいた』

こういう情報こそ、何も知らない新卒の学生には必要なのかもしれません。

新卒の学生は非常に少ない判断材料で就活に臨みます。

世の中にはホワイト企業もあります。

そして、数多くのブラック企業があります。

社会人の人たちは、近くに学生がいるなら、できる限りのことを伝えてあげて欲しいと思う、今日この頃でした。

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