『雇用を守るため』に手を抜いて合理化を拒否する人間がいる現実

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『サラリーマンは3割減る!ーあなたは7割に生き残れるか』

最近こんな本を読んでいます。
ありがちなタイトルですが、サラリーマンも6年目?を迎え、こういった本を読んでみるのも良いかな…と。
人工知能や企業内失業者など、まぁ予想できるキーワードが並んでいるわけですが…
読み進めている最中にタイミングよく、こんなツイートが流れてきました。

 

 

今日は、僕が新卒時代に働いていた会社を少し振り返ってみます。

 

僕は修士を出た後、都内にある某メーカーの研究所に配属されました。
1年が経過した頃で1つ大きな仕事を任せてもらいます。

仕事内容は、自分の担当商品の製造ライン立ち上げ。
工程や条件設定、そして現場指導。
20歳半ばにしてベテラン現場スタッフのマネジメントをすることに…

もともと研究職『らしくない』不真面目な性格をしてるせいか、いかつい製造スタッフとも交流があり、タフに勉強しつつ、仕事自体はなんとかこなすことができました。

ただ、現場に浸かるにつれ、スタッフたちの”あら”が見えてくるようになり… 

 

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工数削減の裏に…

メーカーでモノづくりをする上では製造工程の最適化は必須です。
資源や原料調達に難のある日系メーカーは、工程をスリム化することでコスト競争力を確保しています。

僕も現場に関わる以上、『水光熱の削減』『工程の短縮、合理化』そして『工数の削減』を目指します。
はじめに断っておくと、新卒入社した会社は俗に言う”ホワイト企業”で、残業はプライベートで余裕を持てる程度ですし、残業代もフルで出ます。解雇やリストラも聞いたことありません。有名ではないですが、業界内大手で福利厚生も整っていました。

ただ、成果にはもちろん厳しく『年間何千万コストダウンになりました』という数字が評価に直結します。
それまでの研究業務のように成果が曖昧な部分はなく、製造関連の仕事は純粋な『金額』で評価されました。

となると、僕たちが成果を上げるためには、製造ラインのムダを改善すること…すなわち『コスパ』を良くするのが手っ取り早い方法になります。
分析や生産管理ソフト、あるいは工程自体の変更など、『改善』の中には『現場スタッフの作業をラクに』ということにもつながります。

実際、仕事が現場スタッフに感謝されたこともありましたが…

 

『いつもありがとうな。負担がかなり減ったわ。今年評価高くなるやろw』

『いえいえ、いつも教えてもらって助かります。』

『人が余ってるとかは言わんといてな。』

『あはは。』

『ほんまやで。』

『言わないですよ。』

 

日常会話に過ぎませんが、いつもと違う『圧力』を感じました。

 

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なぜ効率化が怖いのか

効率化 → 工数削減 → 新規事業に人員を再配置 → 圧倒的成長!

 

会社がプレイヤーたちに効率化を求めるとき、こんな青写真が描かれています。
ただ、効率化したところで、新しい工場や製造ラインを作る余地がない(新商品の開発が少ない、売り上げが停滞気味など)場合は、人だけが浮いてしまいます。
『人件費削減』は成果として挙げられやすいですが、浮いたはずの人員を再配置できず、効率化された現場でダブついて何のコストメリットにもなっていない場合が散見されます。

こうなると会社は、とりあえず現場に置いたままにしてみたり、とりあえず異動させてみたり…
雑に扱われた結果、現場スタッフは『そのウチ切られるんじゃないか』という不安から『効率化』を拒否するようになります。
(ラクになった現場で単純にサボりたいだけの場合も多い…)

 

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自分で仕事を探せないというデメリット

自分で仕事を取ってくる…例えば、新しい研究シーズを探す新規顧客に営業する…といった自分発信の仕事が少ない職種だと、会社の業績に仕事量、スタイルが左右されやすくなります。

もちろんそこをマネジメントするのが会社、管理職なわけですが、営業や研究開発のように、自分で仕事を作れるかどうかは仕事のスタイルにも影響します。
後者の場合、うまくやれば企業にいながら自分の手のひらの上で仕事をセーブするということも可能になるわけです。

人材フローを上手にマネジメントするのは会社の責任ですが、会社への依存度が大きいほど『切られやすい』人材となるのが実情…

『効率化』『合理化』された先で生きていける能力が無い場合、自分の居場所を失うことにつながるわけですから、彼らは非効率な世界を死守しないといけません。
ただでさえ『居心地の良い』と『変化』は対極にあるわけですから、長く会社に居続けた人間に限って効率化や新システム導入を頑なに拒否することが多いことも頷けますね。

 

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おわりに

『現場を楽に』が生む阿鼻叫喚…みなさんの環境でも見られるでしょうか。
ワンオペで荷重労働させるような企業は論外ですが…適度な負荷の仕事を最適な人員で回すというハードルはめちゃくちゃ高いですよね。

僕の場合は効率化”する側”として仕事をしてきた期間が長く、コストダウンという言葉が割と好きなタイプのサラリーマンです。苦笑
ただ、それを実現するために人の感情をどうコントロールするか…
マネジメント能力を上げていきたいですね。