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10分でわかる保健機能食品の基礎【特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品】

食品科学
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2016.5.6更新

2015年4月に、『食品表示』の新しい制度が施行されたこと知ってますか??

『食品表示』と言っても色々ありますが…

 

今回は、その中から『保健機能食品』の新制度のお話です。

今度は、保険機能食品といきなり言われても…って話ですよね。

下の図を見ればパッとくるでしょうか。

 

f:id:salawab:20160408202655j:plain

トクホだよ\(^o^)/

 

そう、トクホこと『特定保健用食品』

黒烏龍茶とかヘルシア緑茶などに、このマークがついてますね!

これも『保険機能食品』の1つです!

 

実は、この保健機能食品というジャンルに、新しい仲間が出来たのです。

その名も、

 

『機能性表示食品』

 

なんのこっちゃねんって話ですよね。

食品メーカーの中の人である僕もそうです!

(施行して間もないので、探り探りです…)

 

『消費者の皆さんが、食品の機能を正しく理解して選択できるように』

 

怪しい健康食品が氾濫する中で、消費者庁はこう打ち出しました。

 

今回は『保健機能食品』の新制度の話を中心に『健康食品と食品表示の誇大広告』について解説していきます。

 

【目次】

【当記事は、食品表示企画|消費者庁及び関連データ、筆者の業務実績を参考に作成しています】

『保険機能食品』のキソ

『個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません』という抜け道

このフレーズ、よく見ますよね。

健康食品や化粧品など…『科学的な根拠が無い』商品で多く使われるフレーズです(^p^) 

 

一部の優良企業を除き、健康食品を扱うメーカーは、法律の穴を見つけつつ、どうやって(判断能力が無い)消費者に商品をアピールするか…色んな手を使います。

酵素ドリンクや水素水など、穴だらけの商品も多いです。

それをアホみたいに盲目的に信じて宣伝しちゃう消費者もいますが…。

 

そもそも、食品において健康効果の表示、宣伝は、一部の認定された商品を除き禁止されています。

科学的根拠がなかったり、あるいは国の認定基準外の健康食品が、その効果を謳うための抜け道が、 

 

『個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません』

 

なのです。

 

根拠ではなく感想ですからね…。

 

ただ、科学的な根拠があるにも関わらず、健康効果を謳うことができない食品も沢山あります。

今回は、そんな食品を救済する新制度についてのお話。

 

【食品の分類】そもそも『保険機能』とは?

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図のように、消費者庁では食品を大きく2つに分けています。

1つが『一般食品』です。普通の食品。

これらは仮にデータがあっても機能や効能を謳うことはできません。

『栄養補助食品』『健康補助食品』など色んなパターンでカテゴライズされた健康食品がありますが、それらは全て国が認定していない『一般食品』です。どっかの機関が名付けただけ。

 

もう1つが『保健機能食品』です。

これらは健康に関する機能や効能の表示を国が認めた食品になります。

今回はこの『保健機能食品』を細かく解説します。

 

ちなみに『保険機能』とは、健康効果の正式名称みたいな感じ。

うーん、例えば…

 

『お腹の調子を整えます』

『糖の吸収をおだやかにします』

 

みたいな表示のことです。

 

『便秘の治療に最適です』『高血糖を劇的に改善します』などの表示はアウト!

これらは保険効果ではなく『病気の治療』に当たるので『医薬品』のジャンルになってきます。

 

以降の項で『保健機能食品』を構成する3ジャンルを簡単に解説します。

 

その1:【特定保健用食品(トクホ)】は国が認定!

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トクホだよ\(^o^)/(2回目)

 

食品メーカーからの申請で『国の機関が分析し、”健康効果”を国が認定した』食品が、いわゆる特定保健用食品(トクホ)です。

 

詳細は【リンク:健康や栄養に関する表示の制度について | 消費者庁に掲載されています。

 

医薬品のように疾病の治療は出来なくても、健康効果があるという『科学的根拠』を国が保証した、最も信頼性の高い健康食品とでも言いましょうか。

ただし、『健康を増進する科学的根拠』があったとしても、なかなかトクホとして認められない場合があります。

トクホの認定は『容易に測定可能』だったり『本人が状態の変化を自覚できる』作用に限られるのです。これ以外にも結構規約が多い…。

 

現時点でトクホ認定されている食品を見ると…

  • 『お腹の調子を整えます』(特定の乳酸菌や食物繊維など)
  • 『コレステロールや体脂肪が気になる方に』(カテキン、 EPAなど)
  • 『糖の吸収を穏やかに』(難消化性デキストリンなど)
  • 『血圧が高めの方に』(ペプチドの一種など)
  •  『カルシウムの吸収を促進』(CPP、大豆イソフラボンなど)
  • 『歯の再石灰化を促します』(キシリトールなど)

などなど…。

以下が商品例。

 

主に、腸内環境!血!骨!歯!の4カテゴリーですね…。

 

また、トクホは商品毎に申請が必要です。

新商品を出すごとに、実験データ、論文の提出、国の審査、試験、認定を経ないといけません…。

 

概要はこんな感じ。

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このトクホの問題点…まずは費用!

動物実験ヒト試験と簡単に言いますが、数千万は下らないですよ。

治験 × 統計的に有意な人数…イメージできますね…?

まずここで、技術があっても資金力の無い食品メーカーが篩にかかるのです。

 

次のハードルが認定までの期間です。

申請から認定までの平均期間は約7ヶ月(3ヶ月〜最長2年(!?))とのこと。

【参考】第12回「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会資料について

スピードが速い食品メーカーの商品開発においてはネックになります…*1

 

これを補うために生まれたのが『機能性表示食品』!?

後述します。

 

その2:【栄養機能食品】で足りない栄養素をゲット!

その前に、『保健機能食品』のもう一人の仲間を紹介します。

これはトクホと違って定義が明確で簡単。

特定のミネラルビタミンを国が定める摂取量の範囲内で含む食品です。

シンプルで、ある意味『信頼性』は最も高いかもしれないですね。

 

例えば、

  • 亜鉛:味覚を正常に保つのに必要な栄養素です(下限2.1〜上限15mg)
  • :赤血球を作るのに必要な栄養素です(2.25〜10mg)
  • ビタミンE:抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です(2.4〜150mg)

などなど…

量を守りつつ、『国が定める効果以外は表示不可』になります。

特定のミネラルやビタミンを取りたい時に参考になる表示ですね*2

 

特定の栄養素を多く含む食品や、サプリメント等がこれに該当します。

 

その3:新制度【機能性表示食品】とは!?

こいつが2015年4月から施行されている新たな『保険機能食品』です。

 

『機能性表示食品』は消費者庁ではなく、食品メーカー自ら健康機能について検証、審査を行い、企業の責任で保険効果を表示できる食品になります。

概要はこんな感じ。

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特保と違い『発売日の60日前』『科学的な根拠(実験データや論文)』を基に申請すればOKです。

これなら食品メーカーの負担も少ないですね!

 

『(でもそれ、その辺の健康食品とどう違うの…?)』

 

って話ですが…

 

『国への届出を行うことで、国の監視下に置かれる』

がキーポイントでしょうか。

また、あくまでも『科学的な根拠がある』ことが前提なので、査読付きの論文で立証されていることなど、ハードルはそれなりに高いです。

 

健康効果を示すデータに自信はあるが、『トクホ』を申請できない*3食品メーカーにとっては良い話ですね。

これまでは、健康効果があったとしても、国の制度でそれを表示できなかったわけですから。

また、ジャンル的に特保には入らない健康効果がある商品にも活用できます。

 

この『機能性表示食品』の信頼性について、次の章で解説します!

 

『機能性表示食品』は信頼できるのか?

『国への届出』というハードルは結構高いが…

機能性表示食品も『科学的根拠』が必要なわけですから、実体の無い健康効果を謳う悪徳メーカーは篩にかけられます。

『どんな効果があるんだろう』を、商品ごとにしっかり表示できるわけですから、消費者にとっては正しい商品を選択する精度を上げることが出来ますね。

 

ただし、これは国の認定機関がしっかりと機能していることが前提!

これについては今後の運用結果次第ですね…。

 

個人的には、悪徳メーカーはそもそも国の監視下に自ら飛びこまないだろうと考えているので、そういう意味では信頼性は高いと考えられます。

少なくとも消費者は『立証データ』がある商品を選ぶことができるわけです。

(ただ捏造や実験ミスはどうしようもないけど…)

 

今のところ大手メーカーが中心に活用

【参考】機能性表示食品に関する情報|消費者庁

 

現在、機能性表示食品のデータベースを見ると…

  • キリンビール
  • 日本水産
  • ライオン
  • ロート製薬

など、主に有名メーカーが活用しています。

元々データが豊富にある分、自社のデータで健康効果を謳える『機能性表示食品』の制度はお待ちかねと言ったところでしょうか。中小企業もちらほらありますね。

 

基本的に、機能性表示食品は漠然とした効果を謳うものではありません。

例えば、

 

【届出者】キリンビバレッジ

【商品名】食事の生茶

【機能性関与成分名】難消化性デキストリン

【表示する機能性】脂肪の吸収を抑えて〜(略)

 

このように、食品に含まれる『ひとつの成分』に絞って効果を謳うものです。

 

パッケージ例はこんな感じ。上部をチェック!

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【引用】機能性表示食品のノンアルコール・ビールテイスト飲料「パーフェクトフリー」を新発売|キリン

 

『個人の感想であり…』の信頼性がまた1つ下がった

僕の考えは、『機能性表示食品』の信頼性は今後の運用次第で変わってくるとして、『個人の感想であり…』しか言えない悪徳メーカーの健康食品を足切りできる制度だと考えています。

 

科学的根拠のある健康食品を持つメーカーは、この制度をどんどん活用していくでしょう。

対して、法の穴を突きつつ誇大広告を打つしかないメーカーは、いくら機能性表示食品の表示が企業自身の責任だと言っても、『国の監視下』に置かれるわけにはいきません。

 

そのため、

『個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません』

の信頼性がまた一つ下がったと同時に、この文言で誇大広告を打っているような商品の安易な購入はおすすめできないという結論で締めたいと思います。

 

まとめ

食品メーカーの内部事情って表に出ないんですよね。

 

僕のような食品メーカーの中の人も、会社を一歩出ればただの消費者です。 

買い物をしながら『わかりづらいよなぁ…』と思うこともしばしば…。

 

少しややこしい話でしたが、こんな感じでなかなか消費者に浸透しない食品関連の話もしていきたいと思います。

良ければ読者登録お願いしますね。

 

それでは!

 

↓食の安全、添加物に関する『中立的な』良書です。良ければ。

 

みるおか

*1:類似商品で同一成分の保険効果を謳う場合は、十分実績がある場合に限り、試験をパスできる場合がある

*2:別にメーカーがその栄養素を推したい商品じゃなきゃ表示”義務”はない

*3:または費用や期間面からトクホ申請する優先度が低いなど